厳冬期登山と残雪期登山と初冬登山と冬期登山の期間とその注意点

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以前、こんなfb投稿をしました。

Yamakaraで残雪の槍、残雪の立山あたりを出したらわーっと申し込みがあって、それに対して書いたのですが、確かに雪の槍とか萌えますよね。

でも、残雪期の槍と冬期の槍だとかなり違います。特に、上高地があいて、小屋が営業はじめた後とその前では全然違う。。。ちょっとごっちゃになってないか、と。残雪の槍と厳冬期赤岳だったら厳冬期赤岳の方が一般的には難易度が高い。もちろん、山の魅力って難易度だけじゃないので、どちらに惹かれるか、は人それぞれ。でも、アバウトでも難易度が分かった上で、という前提は必要。

そんなわけで、今回は初冬、冬期、厳冬期、残雪のザックリとした定義をご紹介したいと思います。

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初冬登山とは

雪の降り始め、中部山岳地域や富士山では10月ぐらいから、南アルプスや八ヶ岳だと11月半ばくらいからでしょうか。本格的雪山の始まる12月に入ると初冬とは呼ばないので、その間の短い期間です。

まだ小屋が空いているところも多く、小屋締めギリギリを狙うのが安全面もインフラ面もよい季節です。まだ道路も閉鎖されてなくて、アプローチも楽なところが多い。

例えば。

燕岳だと、夏は中房温泉まで車で入れますが、11月下旬になると宮城ゲートという10キロ以上手前のポイントで道路閉鎖となっているので歩かなければいけません。宮城ゲートの空いている時期と燕山荘、中房温泉の営業している時期はほぼ一致しているので、雪の降り始めからその閉鎖までが初冬、ということになるでしょう。

上高地も、11月半ばで閉鎖ですし、広河原も11月頭で閉鎖です。

そのあたりは、各道路を管理している行政のHPが一番額実です。

<中房線>

道路情報(通行規制)/安曇野建設事務所

<上高地>

交通規制情報/松本建設事務所

<広河原>

山梨県 県営林道通行規制情報  林道詳細

初冬登山の注意点

初冬の登山は、3点、注意しておいた方がいいと思います。

1点目は、意外に冷えるということ。温度が下がった後に雪が積もるので、同じような雪の状態に見えても、初冬は残雪に比べて温度が低い。特に、数週間前まで雪のない季節だったから、その延長線上程度の冷えだと思って稜線に出るとエライ目にあったりします。防寒対策はしっかりと。

2点目は、足元のギア選びが難しい、ということ。厳冬期ならば12本で行っちゃうところが、岩と雪と氷のミックスになっちゃったりして、なかなか12本では対処しにくい、という状況が生まれます。そんなに重くないし、チェーンアイゼンを1つ入れておくようにしてください。

3つ目は、日が圧倒的に短いということ。夏と同じような行動時間を考えてると一気に暗くなります。夏で8時間の行動時間を考えている人ならば6時間想定で行くなど、そもそもの行程を短く組むことが必要です。

冬期、厳冬期登山とは

12月~3月ぐらいの登山を冬期登山、その中でも1月~3月初週ぐらいまでの登山を厳冬期登山、と呼びます。

この時期になると、中部山岳地帯では好天が長くは続きにくくなります。また、積雪も多く、体力的にも技術的にも高度なものが求められることが多くなります。

シベリアからの寒気団が日本海で水蒸気を含み、中部山岳地帯で降雪、そのまま太平洋に吹く、という流れなので、太平洋側では比較的天気が安定しています。アプローチの良さもあいまって、八ヶ岳や上州、越後のスキー場からアプローチできる山々に人が多く集まります。

冬期登山、厳冬期登山の注意点

体力的にも技術的にも高いものが求められます。それ以外の季節に行ったことがあるところ、また、最初は経験者と行くなど、細心の注意を払わなければいけません。

その上での注意点を挙げるならば、2点。

1点目は、降雪直後に一気に山が変わるので、自分自身の登山する日だけではなく、その前数日の天気や記録を山行にすること。トレースがあるかないかで大幅にレベルが変わります。本来ならばトレースがなくても行けるだけの実力がないと行くべきではないのでしょうが、この時期に天狗、硫黄、赤岳、谷川、上州武尊、安達太良、那須あたりに入っている人のほとんどはそれほどの力はなくて、トレース頼み、というのも事実です。トレース頼みで行くならば、トレースがあるのかないのか、出たとこ勝負ではなくて、あることを確定させてから行くべきでしょう。

2点目は、ほかの季節以上にいわゆる雪かどうか、視界がどうか、の天気だけではなく、風に気を使うこと。これは、地形的なモノも含めて、です。この季節に稜線で吹かれればひとたまりもありません。天気が良くても飛ばされてしまう。その時の風の強さ、風の強さの予報によって、その瞬間に天気が良くて視界良好でも撤退、ということを判断しなければならないことがあり得ることを頭のどこかにとどめておいてください。

残雪期登山とは

3月後半から、それぞれの山の雪が残っている季節の間の登山が残雪期登山、です。中部山岳地帯なら7月頭ぐらいまで、上州や越後の山や八ヶ岳で5月ぐらいまで、という年が多いです。

残雪期の登山は、比較的天気も安定していることが多く、また、温度も高いので、初冬、厳冬期登山と比べると難易度は下がります。後半になると、12本爪アイゼンは必要なくて、軽アイゼンやチェーンアイゼンで行けるところも多くなります。

5月に入ると冬期にしまっていた山小屋も空き始め、登山道の状況をHPやfacebookで知らせてくれるようになります。これらの情報をしっかりとみていけば、比較的安全に雪山登山を楽しむことができるでしょう。

一方、この時期は雪が解けてくる時期。ところどころで雪の下のハイマツまで足が抜ける、踏み抜きが起こり始めます。厳冬期のトレースと違って、人が入れば入るほど踏み抜きのリスクは高まるので、覚悟して山に入ってください。

残雪期登山の注意点

残雪期登山の注意点は2つ。

1つ目は、朝晩はまだまだ冷え込むために、登山道の比較的低いところでアイスバーンになっていることが多い、ということ。ところどころアイスバーン、という状態の登山道に12本爪アイゼンはかえって使いにくいことも多いです。初冬と同様、チェーンアイゼンを一つザックに入れておくようにしてください。

2つ目は、この時期の降雪直後は雪崩に要注意、ということ。もちろん、冬期・厳冬期でも雪崩の可能性がありますが、この時期の入山しようとする人たちの雪山レベルを考えると、改めて注意するに越したことはないと思います。

雪山の経験を積んでいく難しさ

仮に難易度が、初冬<厳冬期<残雪、ならば簡単な話で、シーズン最初から経験積みまくって、一番難易度高い時期に自分のコンディションのピークを持ってくればいい。でも、現実はそうではなくて、残雪<<初冬<<<<<厳冬期。そうなると、例えば雪山を始めたい人は残雪から始めるのがいいことになるのですが、はじめちゃうと来シーズンまで待たないといけなくなっちゃう、というとっても難しい現実があります。

この辺、山の難易度で解決するしかなくて、厳冬でもいいから、日帰りできる黒斑とか赤城とかで始めるのがいいと私は思っています。

雪山シーズンは私もほぼ休みなくフル稼働しています。

ぜひYamakaraでご一緒して、雪山談議に花を咲かせましょう!

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