夏山と同じ思考回路で選ぶとダメ。雪山選びで大事なこと

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いよいよ雪山シーズンですね!もうワクワクしている人もいっぱいいるんじゃないでしょうか?

うちのYamakaraでも、今日(10/23)、雪山シーズン、来季6月までのツアーの発表があります。

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ツアーにご参加の方も、そうではない方も、本格的な雪山シーズンに入る前に、雪山選びで気を付けてほしいことを書いておきます。

それは、「どんどん新しい山に行こうとしないこと」です。

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夏山ほど「行ける」山が少ない

登山にどれだけ日数を使えるか、ということを考えたときに、雪山ではアプローチにかかる日数が増えるため、実際には「行ける」山が少なくなります。例えば、夏山では初めての北アルプスにちょうどいい燕岳でも、中房まで車が入れなくて、宮城ゲートから車道を歩くことになります。北岳の拠点、広河原に入るのは、夜叉神ゲートから歩かなければなりませんし、北沢峠も入れません。南アルプス南部のアプローチはもっと減りますし、立山、室堂にも4月まで入れません。

つまり、いつでも休日な人たち(それはそれで体力に課題のある年齢に差し掛かっている人が多かったりするわけですが)や2泊3日ぐらいが限界、という人たちにとって、そもそも行く山の候補が少ない。これは覚えておかなければいけません。

アイゼン歩行のレベルは、アイゼンはいて山歩いている時間に比例

もちろん、コツもあるし、本やyou tube見て勉強してきた人とそうじゃない人の学習効率に差はあれど、結局はアイゼンはいてどれだけ山に入って、どれだけの経験を積んだか、が大事です。何時間アイゼン歩行の経験があるか。

夏山は、体力が一番重要な要素。だから、下界でも走るなり、筋トレするなりトレーニングできます。冬山も体力が大事。ただ、それに加えて、アイゼン、ピッケルの道具の使い方も大事になってきます。特にアイゼン。足元が重くなるし、斜面になると重心移動も気を付けなければならないし、滑落しないか気を使わなければならないし。そのために積まなければならない経験はアイゼンはいて山を歩行するしかないのです。

だから、同じ山の反復が必要

登山している人は、できれば同じ山に登るよりも別の山に登ってみたいと思っている人が多いと思います。槍に行ったら、そこから見える北穂に登りたいと思ったり、穂高の4つを全部登りたいと思ったり、標高上位順に登ってみたいと思ったり。

夏山だったら同じようなレベルの山で別の山があるので、同じ山に反復しなくても、違う山に行ったときに似たレベルで選べます。その中で自分の体力も経験値もついてきて、1泊2日の山行していた人が2泊3日にチャレンジしたり、1つの山に登っていた人が稜線にチャレンジしたり、より標高の高い山にチャレンジしたりできます。

雪山の場合は、そもそも候補の山が少ないので、別の山に行こうとすると似たレベルじゃなく、違ったレベルの山になります。そして、山に登る人の特性として、それはよりレベルの高い山を目指す人が多い。そうすると、雪山の実力=アイゼン歩行時間が上がる前にレベルの高い山にチャレンジしてしまうことになりがちです。それはリスクが高い。

だから、同じ山の反復が必要なのです。それで、アイゼン歩行の練習時間を稼いで、次のステップへ進む。いいですか、雪訓しようと、アイゼントレしようと、コツをつかめるかもしれませんが、そのコツを現場でどんどん使わなければサビてしまいます。サビさせずにレベルを上げるためには、地道に、山でアイゼン歩行を繰り返すしかないのです。

同じ山でも冬から春にかけてレベルが下がっていくから余計厄介

雪山には、本人の体力、アイゼン歩行の慣れだけではなく、雪崩のリスクの読みや天候判断、装備など夏山以上にいろいろな要素があります。が、概して、厳冬期と言われる1月から2月ごろと残雪期と言われる4月から5月ごろを比べると、残雪期のほうがレベルが下がっていく。本当はそれが逆ならば、雪山本格シーズンに向けて、実力もついてきてレベルも上げていくことができるのですが、残念ながら逆。

単純に考えて、厳冬期の前と後、初冬と残雪が同等レベルじゃないかと思いがちなのですが、そうではありません。厳冬期に向けて温度が下がって雪が降り始めます。だから、初冬は一気に温度が下がる可能性があり、一気に冬型の天気になって降雪の可能性もあります。残雪期は天候が比較的安定し始めていますし、温度は上がっていることが多いので、対処がしやすい。だから、初冬と残雪は同等レベルとは言えないのです。

雪山何年もやっている人ならともかく、そうじゃない人は12月に雪山シーズンに登り始めて、2月、3月に向けて山のレベルを上げていきます。前述のとおり、候補が少ないから夏山よりもレベルが上がりすぎてしまうリスクがあり、その上に同じ山でもレベルが上がる時期に向かっていく。ダブルでレベルが上がってしまうので、「どんどん新しい山に行こうとしないこと」がとても大事になってくるのです。

同じ山の反復でも、夏山以上に違いが楽しめるでしょう。初冬では氷と岩のミックスになったり、厳冬期にはラッセルが楽しめ、残雪期にはぽかぽか陽気の中での雪山登山が楽しめたりします。その中で十分にレベルを上げて、次の山にぜひチャレンジしてくださいね!

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