剱岳・源次郎尾根に行ってきました

スポンサーリンク

5月2日から5月4日で剱岳・源次郎尾根に行ってきました。

メンバーは、ゆりさん、さかまみさん、まきこさん。

さかまみさん、まきこさんは昨シーズン残雪の剱岳に登っているので、2年連続の残雪の剱岳です。ゆりさんは初めての残雪の剱岳。

3人とも、ほぼ今シーズンが雪のアルパインが初めて。サギダル、赤岳主稜、阿弥陀北稜、阿弥陀南稜など積み重ねてきました。

とはいえ、はっきり言って、雪アルパイン初年度での源次郎は早すぎです。

ただ、2-3年ほど前からフリークライミングの重要性について説き続けて、食らいついてきたメンバーです。自然壁でも人工壁でも11aかそのちょい手前ぐらいのグレードが登れるようになってきたので、残雪期のビッグルートにトライすることにしました。

私の師匠、新井センセもフリーのグレードさえあれば2ランク飛ばしぐらい全然余裕、っておっしゃってますしね。(引用 : ロクスノ2002/11 )

Amazon.co.jp
スポンサーリンク

剱岳・源次郎尾根とは

剱岳の代表的な谷、平蔵谷と長次郎谷の間を頂上まで突き上げる長大な尾根です。

剱午前から見ると、スカイラインが八ツ峰、その手前の顕著な尾根が源次郎です。

難易度では八ツ峰に譲るものの、頂上まで突き上げるという尾根の美しさから、人気のあるルートです。1峰、2峰と2つのピークを抱え、1峰からはクライムダウン、2峰からは懸垂下降、とすることが多いです。

無雪期は2峰からの懸垂で待ちができるほどの大人気ルートですが、当然、このGWでも剱御前を越えると限られた人しか来ることのできないエリアとなり、我々が登っている日も、我々以外に3人だけでした。

私は、残雪期のアルパイン5大ルートが、前穂北尾根、白馬主稜、槍北鎌、剱源次郎、剱八ツ峰だと思っているのですが、その5本の中でも剱の2本は難易度が高く、そう簡単には取り付けないルートになります。

剱沢から1峰へ

剱沢4時15分発。

前日剱沢にテントを張り、3時起きでの出発を目指すが、最初のルンゼに明るくなってから取りつきたい、という思いと、前夜から若干風が強くなっていることを考えて、一応テントを崩してから出発したい、ということで4時ではなく15分ほど遅らせて出発。

最初のルンゼの手前で尾根筋に迷い込むアクシデントがあったが、無事に復帰、ルンゼで順調に高度を稼いでいく。

とはいえ、このルンゼ、過去には死亡事故も起こっているところで、一歩間違えば奈落の底であることは間違いない。アイゼン効かせて登ることはできるが、アイゼンがあっても下ることはできない斜度、といえばお分かりいただけるだろうか。もし敗退するならば、懸垂で下降するしかない。逆に言えばこのルンゼをある程度登ってしまったら、余程のことがない限り、尾根上を登っていくしかないのだ。容易なエスケープルートなど誰も用意してはくれていない。

途中、まきこさんが危うくアイゼンを引っ掛けるがロープで止める。初動で止めなければ、ある程度落ちることを覚悟しなければならない雪の硬さ、斜度。1歩1歩、慎重にアイゼンを蹴り込み、ジグザグ登高を続ける。

ルンゼを終わらせ、岩峰を越えると1峰。岩峰は2級ぐらいだろうか。アイゼンを履いていても、このぐらいのクライミングは余裕で難なくこなせるはず。これまでの練習とそれをずっと見てきたという信頼関係はこういうところで活きる。ロープはショートロープのまま1峰へ。

ルンゼ取付きから1時間ほどで1峰。なんとかアイゼンが効く雪の硬さのうちに1峰まで辿り着いた。

1峰から2峰へ

1峰からはクライムダウン。

これまであまりクライムダウンを教えてこなかったため、前向きでの下り始めるが、途中で体を返すように指示を出し、全員クライムダウンで。この10m弱の下りがこのルートで一番怖かったところだろう。

下り切るとナイフリッジ。そして、再び2峰への登り。

ただ、朝のルンゼほどは凍っていないし、先行者がいてトレースもしっかりとつけてくれている。ペースを落とすことなく登り返し。

2峰到着が8時半。1峰から1時間ほどで到着した。

そして、2峰からは美しい本峰が聳え立っていた。

2峰から剱岳頂上へ

2峰からはロープを組み直して懸垂下降。

この時のために50mロープを2本持ってきていたのが、積雪量の分、着地面が高くなっていため、50mロープ1本での懸垂を試みる。足りなければ途中にも支点があるという情報もあるのでなんとかなるだろう。

このタイミングでは、懸垂の着地点がどんな形状かわからなかったので、4人立たなければならないことを考えると、ロープの出し入れは最小限にしたい。結果的にこれが正解で、50mロープでギリギリ着地、スムーズに懸垂を終えた。

そして、再びナイフリッジ、そして雪壁。

それにしても、後ろを振り返ると絶景が広がっている。もちろん3人は必死で登っているのだけれど、ただ、頂上が見えて、少し余裕が出てきたようにも見える。

頂上直下、四つん這いにならないと高度を稼げない雪壁を越えると、頂上の祠が待っていた。

頂上着が9時40分。ルンゼ取付きからだと4時間ほどで源次郎を抜けたことになる。時間的にも十分合格点。

平蔵谷の下山、そして雷鳥荘へ

下山は、カニの横ばい経由で平蔵谷、シリセードで早い早い。

平蔵谷の出会いからはしんどいしんどい剱沢への登り返し。そして、日程の組み方で剱沢もう一泊はできないので、雷鳥荘まで。それでも時間的に余裕があるのと、剱御前まで頑張れば室堂まで一望出来るため、なんとか最後の気力で雷鳥荘まで。

3人ともおめでとう!

日本有数のビッグルート。そう簡単なルートではありません。フリーの練習も必要だし、体力もしっかりつけないといけない。山との向き合い方も夏山縦走とは違う心構えが必要だし、雪山の経験も大事。

そういう総合力が試された登山でした。これ以上の登山が今後できるかどうか保証はないけれど、このレベルの登山がまたできるように、研鑽を続けましょう。

スポンサーリンク
山日記
スポンサーリンク
atsushiyamaをフォローする
スポンサーリンク
経営と登山のあいだ
タイトルとURLをコピーしました