登山計画書の義務化の流れで改めて考える登山計画書提出の意味

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登山届、出してますか?

Yamakara」では、当然全ツアー登山計画書を提出しています。Compassを通じて全ツアー同じアカウントを使っていて、提出は企画担当、下山連絡は各添乗スタッフが行っているため、どのツアーが下山したか、みんな分かる仕組みになっています。(スタッフLineでその前にわかるんですが)。

ところで、2019年(令和元年)12月1日から山梨県内の富士山、八ヶ岳、南アルプスの一部の山域で登山計画書の提出が「義務化」されます。

https://www.yamakei-online.com/yk/issue/yamanashi2019/

これを機に、改めて登山計画書の意味を考えてみましょう。そして、ツアーじゃなくて個人での山行でも、提出する癖をつけておきましょう!

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登山計画書についての参考記事

これには、ぜひ下記のリンクを見ておきましょう!先に行っておきますが、自作自演ですけどね(笑)。

山田淳さんの登山計画書講座
更新日:1月9日10時01分

2012年に私がtwitterで連投したものを誰かがまとめてくれたものです。

当時と変わったことといえば、「Compass」の普及により、オンライン提出が普通になったこと。これによって、登山中の計画変更にも柔軟に対応できるようになったんではないでしょうか。

Numberの森山さんの記事も。森山さんは、元ヤマケイ編集者、元ピークス編集者。こういう人の記事がwebで無料で読めるというのは素晴らしい時代だなと思います。そして、その森山さんが書いている登山届の記事は必読です。

登山届は遭難の「後」に役に立つ。条例が増加中、報道には違和感。(森山憲一)
日本で登山をする際、入山料などはとくに必要ない。これは多くの方が認識していることだと思う。では、入山許可や登山届が必要かどうかは?

森山さんの記事で表になっている通り、上記の山梨県の登山届の「義務化」の条例は、単独の動きではなく、各地域で義務化の条例が制定されている中での流れのひとつです。

2014年北アルプス立山室堂地区(一部期間のみ)
2014年北アルプスの岐阜県側一部エリア
2015年御嶽山および焼岳(北アルプス)
2015年焼山(新潟県)
2016年長野県内の主要山岳(計168エリア)
2016年白山
2018年富士山、南アルプス、八ヶ岳の山梨県側一部エリア

より重要になってくる登山計画書

昔のある程度以上の登山をする人たちといえば、大学山岳部と社会人山岳会、大部分がどちらかに入っていました。

例えば、私が東大山岳部にいた時代、山に行くとなると、もちろん警察への登山計画書は提出していましたが、その前に、レクチャというその登山計画を遂行していいかどうかの部内でのミーティングが毎週ありました。そこで許可されないと山に行けない仕組みです。

レクチャでは、先輩が行ける、行けないの判断をします。その上で、行ける場合には在京という東京にいる連絡係を決めます。予備日を超えて下山しない場合には、在京係が動く。当時は今よりも携帯電話が通じる範囲が狭かったので、山で連絡がつかないことが前提で動いていました。現場で、ヘリなどを呼んだ方がいいと判断した場合には直接警察や消防に連絡しますが、そうではない、荒天で閉じ込められた、とかいう場合には、在京係から連絡を受けて、会のOB組織が先に動きます。「未組織登山者」(全員がいつかそう言う組織に入る前提)という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、この言葉の背景には、こういうことがあります。

時代は巡って、「未組織登山者」という言葉自体が時代遅れになっていると私は考えています。「未組織登山者(いつか組織に入る)」ではなく、「非組織登山者(組織には入らない)」という登山者が多数になりつつあると感じているからです。そうすると、上記の通り初動が警察、消防の場合が多くなり、持っている情報量が減り、事前に提出した計画書の内容が相対的に重要になってきます。

何のための登山計画書か

直接のメリットは、森山さんも書いている通り、「登山届は遭難の「後」に役に立つ。」です。遭難後の、救出される確率が上がる。そして、コストもかからない。出さない理由はない、です。本質的には、私がtwitterで書いた通り、「 本質は、「何かあった時に、そのパーティーがどこにいて、どういう連絡手段が合って、何日持ちこたえることができるか」を探す方が把握するためのもの」だと思います。

一方、登山計画を落ち着いて最終レビューする、という側面も大事です。なんとなく地図を見て、なんとなく、天気が悪かったらここで引き返そう、そのためにこういう装備をもっていこう、と思っていたところから、それを人に説明できるところまで紙に落としたもの。それが計画書だと考えれば、自分の登山のシミュレーションのタイミングともいえます。

私は、ガイドにとっても、お客様や一般登山者にとっても、このシミュレーションを落ち着いてできるか、がとても大事だと思っています。

なんでもそうですが、自分の頭の中に思い描いているものから文字に起こしたもの、そしてそれを人に説明できるようにしたもの、で、想定の粒度が変わります。そして、その想定の粒度こそが事前にできる安全登山への第一歩です。そのための登山計画書、という面も忘れずに、ぜひ登山計画書を書いて、より安全な登山を心がけましょう!

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