ヤマケイ、Yamapが山小屋クラウドファンディングを始めています

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先日、剱沢小屋のクラウドファンディング(自力)についてお知らせしました。

これに続き、ヤマケイ、yamapが山小屋応援のクラウドファンディングを始めています。

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山と渓谷社 「山小屋エイド基金」

登山者の安全と安心を提供する山小屋を、みんなで応援しよう!「山小屋エイド基金」

分配金の考え方

分配金は、手をあげてくださった山小屋に均等に分配いたします。
まずはそれぞれの山小屋に10万円が分配できるのを目指し、集まった金額に応じてその分配金を上げていきます。集まった金額に応じた分配金は、アップデートで随時報告いたします。

分配先となっている山小屋(※5月18日21時現在)

山小屋地域山小屋地域
赤岳天望荘八ヶ岳硫黄岳山荘グループ八ヶ岳
蝦夷富士小屋羊蹄山オーレン小屋八ヶ岳
金峰山小屋奥秩父雲取山荘奥多摩
黒百合ヒュッテ八ヶ岳高谷池ヒュッテ火打・妙高
甲武信小屋奥秩父蓼科山荘・双子池ヒュッテ八ヶ岳
太郎平小屋グループ北アルプス冷池山荘グループ北アルプス
剣山頂上ヒュッテ四国七ツ石小屋奥多摩
蛭ヶ岳山荘丹沢三つ峠山荘富士山周辺

集まった金額(※5月19日13時現在)

3,515,390円(325人)

Yamap 「【新型コロナ】#山小屋支援プロジェクト」

【新型コロナ】#山小屋支援プロジェクト

分配金の考え方

このプロジェクトでは、以下の2つのコースから、好きなコースを選んで応援することができます。

 1) 支援する山小屋を指定するコース
金額と山小屋を指定して支援できるコースです。参加山小屋は、以下の山小屋一覧からご確認ください。

 2) 支援する山小屋を指定しないコース

金額のみ決定し、山小屋を指定せずに支援できるコースです。集まったお金は、最も支援を必要としている山小屋に分配いたします。

最も支援を必要としている山小屋ってどうやって決めるんだっけ?

分配先となっている山小屋(※5月19日13時現在)

山小屋地域山小屋地域
富士見平小屋奥秩父金峰山小屋奥秩父
鍋割山荘丹沢高谷池ヒュッテ火打・妙高
黒百合ヒュッテ八ヶ岳オーレン小屋八ヶ岳
蓼科山荘八ヶ岳双子池ヒュッテ八ヶ岳
硫黄岳山荘八ヶ岳根石岳山荘八ヶ岳
夏沢鉱泉八ヶ岳雲ノ平山荘北アルプス
三俣山荘北アルプス水晶小屋北アルプス
朝日小屋北アルプス北穂高小屋北アルプス
蝶ヶ岳ヒュッテ北アルプス剱澤小屋北アルプス
真砂沢ロッジ 北アルプス野口五郎小屋 北アルプス
薬師岳山荘北アルプス槍平小屋北アルプス
二の池ヒュッテ 御嶽山西駒山荘中央アルプス
越百小屋 中央アルプス北岳 肩ノ小屋南アルプス
七丈小屋南アルプス 北沢峠 こもれび山荘南アルプス
剣山頂上ヒュッテ四国

集まった金額(※5月19日13時現在)

9,415,000円 (1,051人)

この2社のクラウドファンディングには何かもやもや感が残る

私だけかもしれませんが。

剱沢のクラウドファンディングは全力協力、と思ったのですが、私は、この2社のクラウドファンディングはちょっと筋が悪いんじゃないかなぁ、と思っています。正直に言うと、心の底から応援できなくてもやもやしている自分がいます。もともと天邪鬼な自分の思考も考えながら、なぜ心の底からは応援できないか、考えてみました。

誰も悪くないのに仕組みがスカッとしない例かな、と。

その理由を今回は書いてみたいと思います。

そもそも、クラウドファンディングとは何か

私は、キングコング西野さんのファンでも何でもないんですが、この言葉だけはいい言葉だなと思ってチェックしていました。

クラウドファンディングは金の成る木ではない

クラウドファンディングは信用の両替機

キンコン西野氏が指摘する、「クラウドファンディングは金の成る木」であるという誤解

つまり、クラウドファンディングって個人/組織が培ってきた信用や、商品化のアイデアなどの将来の信用を、お金に変える両替機だ、という考えです。

この考え方は、投資とか貯蓄とか寄付とかとはちょっと違う側面として、重要なポイントだと思うのです。

プラットフォームを使うメリット

これは、私がクラウドファンディングをしたことがないので何とも言えませんが、一般的に、Ready for?やMotion Galleryなどのプラットフォームを使う理由は何でしょうか?

私は、「プロモーション機能」と「決済機能」が大きいんじゃないかと思います。「プロモーション機能」は「メディア機能」とも言い換えられるかと思います。

引っかかっている理由1 「誰の信用を換金しているのか分からない」

「日本の山小屋」と大々的に銘打つことによって、誰の信用を換金しているのかわからない。例えば、これに賛成じゃない山小屋たちも勝手に巻き込んでしまっている危険があると思います。参加している山小屋名も出ているし、それは受け取り側の勘違いかもしれないけれど、勘違いだったとしても、避けなければならないこと。

個々の山小屋が個々の取り組みをするんだったら、諸手を挙げて協力したい。それをまとめたページを作るんだったらそれは筋がいいと思います。もし、仕組みを知らない小屋があるのであれば、仕組みを提案してあげればいい。

八ヶ岳の旅館組合、とかそれぐらいの単位だったらまだわかります。組合や協会があるのであればそれでやるのも理解できる。ただ、全国での横のつながりはちょっと強引ではないでしょうか。

先にぐるっとまとまりを作っちゃって、参加しないと損をする仕組みにしてしまうのはちょっとなぁ、と思うのです。私が山小屋の主だったら多分思います。「それって別に参加したいわけじゃないけど、もう参加しないって選択肢をなくしているよね」って。

引っかかっている理由2「今後小屋が行う可能性のある資金調達のプロセスを絶ってしまっている」

企業の新たな取り組みってすべて試行錯誤だと思うんですよね。

クラウドファンディングに関しては、コロナの有無にかかわらず、小屋と相性のいい資金調達方法だと思っています。特に、小屋の建て替えのタイミングなど、築いてきた顧客との関係、ファンの多さなどを使って資金調達する、というのは筋がいいように思えます。

今回のコロナの対策、資金繰りでもクラウドファンディングというのは悪くないと思います。ただ、この大掛かりなクラウドファンディングが出た後に個々のモノは非常に出しにくい。剱沢小屋は本当にいいタイミングで出したと思います。

そして、個々の小屋がやればノウハウがたまっていったところがその可能性をなくしてしまっています。そういう一つ一つのノウハウこそが企業の財産だと思うのです。

引っかかっている理由3「小屋の業態が様々なのに十把一絡げ」

一般の人にはわからないかもしれませんが、この小屋の中には、行政の小屋で指定管理で請け負っているところ、小屋の事業を代々やっているところ、様々です。

もちろん、事業者はみんな困っていると思います。それをファンの力で少しでも助けよう、という流れは理解できます。

ただ、例えば、行政の小屋で指定管理、なのであれば行政がある程度責任を負うのが筋でしょう。完全な民間の小屋とは違う議論が必要です。

引っかかっている理由4「”適正”な分配がなされるとは思えない」

この並んでいる小屋たち、私の感覚値なので正確なことは言えませんが、少なくとも5倍くらい事業規模が違います。公平な分配はできると思いますが、適正な分配ができるとは思えません。

横並びで行うことのメリットは、目につきやすいことでしょう。プロモーション力は格段にアップしたと思います。ただ、そのことによるデメリットがあまりに安易に設計されているように見えます。

引っかかっている理由5「換金効率が悪い」

そもそも2社とも、ユーザーを多く抱えるメディアです。そして、ファンのSNSのつながりも太い業界だと思います、登山業界。

今回、もしかしたらコロナ対応で手数料が下がっていたり、2社の交渉で下がっていたらスイマセンなんですが、Ready for で12%、Motion Gallaryで10%の手数料です。その手数料を払う価値ってあるのか、と。そして、それを2社が決めるのがいいのか、と。

(注・追記 : Motion Gallaryは「新型コロナウイルスに起因する、イベント中止・延期・代替開催及び、損害を受けた興行場・飲食店・宿泊施設等の支援プログラム」で5%だそうです。失礼しました。)

返す返すも剱沢小屋の例ですが、振込手数料もこちら持ち、ほんとのお手製のクラウドファンディングでした。

クラウドファンディングに手数料がかかること自体に疑問を感じているのではありません。クレジットカード決済の手数料を考えれば、そう高い手数料には見えません。

ただ、それが今回必要だったのか、それが必要なのだとしたら、メディアである2社がやる意味は何だったのか、そして、その手数料を払ってもメリットがあるというのは主体である山小屋の判断なのか、というのが私の疑問です。

ファンが小屋を助けるという構図に水を差したいわけではない

とはいえ、今ある仕組みはこれしかないわけで、ファンが小屋を助けたいときにこのクラウドファンディングの仕組みでお金を届けるのに水を差したいわけではありません。できた以上、少しでも多くのお金が届けばいいと思います。

ただ、やっぱりもやもや感は残っています。なんでしょうかね、このもやもや感。私だけの取り越し苦労だといいんですが。

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山日記
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経営と登山のあいだ
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