しっかりヤマレコ調べて、ヤマテン見て、すべて確認してから行くのが全てではない

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そういう登山を否定はしません。むしろ肯定派。事前にヤマテンで天気見て、ヤマレコで直近の記録見て、装備を事前に考える。そういう登山が主流になったことで事故が減ったのも事実。ただ、一抹の不安と寂しさを感じるのも正直なところ。

そういう登山が主流になることと、そういう登山しか許せなくなることは違います。そういう登山しかしなくなることとも。そういう登山が主流になることは賛成。そういう登山以外を許せなくなることは反対。自分に対しても、他人に対しても。

ちょっとした事故や失敗が起こると、事前の調べが足りないとか、なぜあの天気で行ったのか、とかなぜあの時間に行動していたのか、とか、急に人の登山を否定、批判し始める人がわんさか。そして安全のためにはこうしなきゃいけない、という自称ベテランがわんさか。

適度な失敗を重ねないと登山の”本当の”経験なんてつかない。でも死んじゃいけない。その間のころ合いの答えというのは永久に出ないもので、それでも永久に追い求めなければならないものなはず。

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本当の安全登山とは何か

登山は想像力のスポーツだと思います。

だから、事前情報を色々入れて、想像の確度と精度を上げるのは重要。それが安全登山につながります。

一方で、自然が相手である以上、私たちが機械でなく生身の人間である以上、現場で想像通りでないことも多々あります。

だから、現場対応力、何が起こっても大丈夫な力、をつけておく必要があります。

想像力を働かせて準備することと、想像通りじゃなかった時の現場対応力を付けること。その両輪が必要なのに、前者がばかりが重要視される傾向があります。確かに、前者の方が安易で近道。でも本質的な登山に近づけるにはには後者の方も大事。

精度が上がっても想像と違うことはある

想像と違うといっても2種類あります。登山は、自然と自分との対話なわけで、自然側が想像と違うことと、自分側が想像と違うことと大きく言って2通りあるはず。

自然が想像と違っていた場合。地形が違う、天気が違う、ルートが違う、などなど。こちらは今後、テクノロジーで精度がどんどん上がっていくでしょう。

一方、自分が想像と違うこともあります。体調然り、実力然り。体調が想像通りじゃなかった、はありがちな話ですが、想像通りの地形だったけど、自分のアイゼン技術が足りてなかった、想像通りの雨風だったけど、自分の装備が思ったよりダメだった、など。

高所なんて、想像したって、みんな初めての高さに行くことが多いわけで、自分の体調、自分の姿が想像通り、なんてことはあり得ません。

だから、いくら情報の精度が上がっても、現場対応力が必要になる場面は出てくるのです。

現場対応力を鍛えるには

友人の花谷さんが、ヒマラヤキャンプという未踏峰へのチャレンジをしていて、こんなことを言っています。

「明日の天気やルートの状況など、スマホを開けばなんでも情報が手に入る時代において、逆に情報がないということは最高に贅沢な事なんだ。」

まさにその通りで、あえて情報を自分の方から消さない限り、スマホ一つで相当精度の高い情報が勝手に入ってくる時代です。もしかしたら近い将来、スマホ一つでドローンかなんかが飛んできてくれて、想像と違うことが起こった段階でいつでも助けてくれる、というようなことが起これば、もう安全登山のために、とか登山は想像のスポーツだ、とかいうことが根本から覆るかもしれません。

でも、今はまだ現場対応力が必要。

では、現場対応力を付けるにはどうするのがいいか。私は3つあると思っています。

1つ目は、現場で圧倒的な体力があればいい。いつも言っている、一に体力、二に体力、三四も体力、五に体力、です。

技術が、とか、気持ち的な焦りが、とか言われますが、体力的な余裕があることは何よりも重要。そして、体力的な余裕はすべてをカバーしてくれます。

2つ目は、想像と違った現場も、対応したことがある現場にしてしまえばいい。想像とは違うかもしれないけど、あの時対応したものと同じだ、というような。

例えば、夏山で思っていたよりも天気が悪くて風が強くなってきても、それまでに強風で歩いたことがある経験があれば、気持ち的な余裕をもって対応できます。

その経験を多く積むには、自分よりも登山の経験がある人との山行を有効活用しなければいけません。

私は、多少の悪天でもツアーを中止にしないようにしているのは、これが理由です。ガイドとしか積めない経験がある、一人では行ってはいけないときに、ガイド登山ならその経験を積むことができる。そういう機会を大事にしたいと思っているのです。

3つ目は、必要な技術を分解して一つ一つ、下界で対応できるようにしていくことです。

例えば、高所登山に行くときに低酸素室に入る、というようなこともそうでしょう。アイゼン技術を高めるためにクライミングをするようなことも、もっと直接的じゃなくても、普段から寒さに強くなるために薄着でいるなんてこともあると思います。手袋つけたまま靴ひも結ぶ練習とか、レイヤリングを考えるとか、行動食を考えるとか。下界でできることは創意工夫でいろんなことができます。

人によっては、ちゃんと下調べをしっかりした上で、かつ現場対応力を最大限生かして、全力だからできるような登山。そういう登山がいつかできるようになるために。別の人にとっては、そんな登山は目指してないけど、安全登山のため、どんなことが起こっても冷静に対処できるように。しっかり考えて登山経験を積んでいきましょう!

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登山の心構え
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経営と登山のあいだ
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