富士登山をあるべき姿にするために誰が何をするべきなのか – 勝手にロードマップを書いてみた –

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富士山の「頂上ご来光」に関して、混雑しすぎていること、渋滞緩和の方策などについて書いて、多くの反響をいただきました。

概ね、特に頂上直下、ご来光直前の混雑しすぎ、渋滞緩和が必要、というところは皆さん同意見と見受けられました。

また、twitterなどを見てくださっていたAERAの川口さんから取材を受け、終バスの時間繰上によるアクセス制限が頂上ご来光の混雑緩和に有効なのではないか、という話をさせていただきました。

富士山の落石事故で沸き起こる入山規制 登山者「渋滞」が一向に解消しない理由 | AERA dot. (アエラドット)
落石による痛ましい事故で沸き起こる富士山「入山規制」の是非。安全に、かつ快適に登るために考えなければならないこととは何か。

今回は、富士登山があるべき姿になるために、誰が何をするべきなのか、を考えてみます。大事なのは、誰が、何のために、何をするべきか、を明確にすることだと思います。

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そもそもなぜ混雑がいけないか

例えば、ディズニーランドでアトラクションが3時間待ちでも、統制が取れた状態ですから、危険はありません。でも、不快ですよね。混みすぎるとリピーターになってもらえないかもしれない。長期的にどのぐらいの混雑まで許されるか、とか、きっと考えがえているんだと思います。富士山でも、どこまでの混雑緩和を目指すか。ここは大きなポイントだと思います。

人数を制限するといってもいろいろな観点があります。自然保護を上げる人もいれば混雑自体が不快だ、という人もいるでしょう。

ただ、まず防がなければならないのは山での事故、というのは共通見解かと思います。事故が防げる状態ができた上で、その先もっと削減するべきなのか、何か変えなければならないのか考えるべきでしょう。まずは、人為的落石、自然落石での事故が100%ではないにせよ、防げている状態を目指す。そこをゴールに設定してみましょう。

そうすると、もう入山者数の総数はあまり関係ありません。 「ご来光直前の頂上直下の混雑」 の緩和、これが全てになります。

まずは環境省は数字を取れる形にしてファクトベースで議論できる土台を作成を

実は頂上直下の混雑、定量的に計測できていません。

環境省が8合目にカウンタを置いていて、日々、時々刻々の人数を数えています。

ただ、8合目の太子館前というのはとっても微妙な位置なんですね。

8合目を昼過ぎに通過した人は、その日に登っちゃって下山までする人かもしれないし、本八合目で宿泊してご来光登山を目指す人かもしれない。

全小屋いっぱいになるような、年間数日ある混雑日だと7合目も8合目もいっぱいになって、夜中太子館前を通過する人も多いと思いますが、そういう日以外だとご来光登山のための主力級の山小屋って本八合目の富士山ホテル、トモエ館、その下の白雲荘、元祖室あたりでしょうから、太子館前は昼に通過しちゃっています。

2機おけるなら、五合目出発とご来光館、1機ならご来光館におけば、「ご来光直前の頂上直下の混雑」を計測することができます。

これはすぐにでもできるんじゃないかな。来季からでいかがでしょ?

富士急バスは最終バスの時刻を繰上、その分始発バスも繰上を

私は終バスの時刻繰上が結構真面目に決定打になるのではないかと思っています。

上記AERAの記事によると、

山梨県では吉田ルートからの登山者が4千人を超える日を「著しい混雑」が発生する目安と定めている。それを1シーズン3日以下にすることを目標としている

だそうですが、カウンタがしっかりと 「ご来光直前の頂上直下の混雑」 を計測できるようになれば、KPIも1日の登山者数ではなくなるでしょう。そうすると、登山者数の数量規制よりも、時間帯別の混雑の平準化が先になると思っています。

昔は、全期間じゃなかったマイカー規制を全期間に伸ばしたわけですから、ここはもう一歩、北麓駐車場、河口湖、新宿から来ているバスの終バスの時間を15時くらいまで繰り上げて、夜通し登る弾丸登山をアクセスから制限するのがよいと思います。

終バスの繰上は、実証実験的なことをやらないと効果がよくわからないかもしれません。来季、土曜だけ繰り上げて、効果が出そうなら2年後完全繰上を目指す、ぐらいでしょうか。

山小屋は、朝食を快適に食べられる形を模索、その先は完全予約制

終バスが繰り上げられて、夜通し弾丸登山が制限されれば、次は各小屋に宿泊している登山者がメインとなるので、いろいろ施策は考えられます。

山小屋は、今はご来光登山がメインとなっているので、朝食はパンだったり釜めしだったりを配っていると思いますが、思い切って朝食メニューを作ってゆっくりコーヒー飲みながらトーストでも食べられるようにしてみたらいいんじゃないでしょうか。別料金でいいので。

もしくは9時くらいから15時の限定でケーキセット出すとか。

8合目より上の山小屋は、昼間も圧倒的に景色がいいわけで、それを利用して、山小屋滞在型の登山を提案すれば、ある程度はご来光登山からそちらに移るのではないかなと思います。

タイムライン的にはその先になるかと思いますが、山小屋の完全予約制というのは視野に入れていかなかければならないでしょう。これは富士山に限らず。

宿泊とアクセスでの、数量規制と時間帯別の混雑の平準化。これでかなり 「ご来光直前の頂上直下の混雑」は緩和されるはず。

滞在型登山の模索は来季からずっと続くようなもの、完全予約制は5年後くらいを目指すような形かな。

ツアー会社はご来光登山以外のツアーの充実を

山小屋滞在型の登山がなじんでくれば、ツアー会社は普通に乗っかってくると思います。

それ以外にも、麓泊まりの日帰りや2泊ツアーなど、実際ご来光登山以外も増えつつあります。

この前、富士宮のガイドさんと話していて「今年はひのぼり(日帰り富士登山のこと)が多い」と言っていましたが、選択肢が増えるのはとてもいいことです。

大体富士登山者の3割程度がツアー登山。吉田口限定だと5割近くがツアー登山だと思います。感覚値ですが、日本でツアー出しているほとんどの会社とレンタルで連携しているので、そんなに大幅にずれていないかと思います。

宿泊とアクセスでの、数量規制と時間帯別の混雑の平準化をして、受け側の器がある程度できたら次は集客側。主にツアー会社の役割です。

特に、東京発のツアーバスは、朝新宿を出て、昼前に五合目について、前日登ったお客様を乗せて帰る、という行程になっているので、いろいろなツアー形態が出てくると、バスの回し方が重要になってきます。

ご来光登山をできるだけ安く出していた思考回路から抜けなければなりませんが、どことも内容が同じだったところから変わって、本当の商品力勝負になってくるでしょう。

2020年が勝負の年になる

うちのレンタルもそうですが、2020年、オリンピックイヤーはインバウンド観光事業者にとって勝負の年になります。

以前と違って、「日本はじめて」という欧米系の人たちばかりではなく、「日本には何度も来ている」というアジア圏の旅行者が多くいます。今は圧倒的に後者。そして、SNSなどの発達で個人間の情報の伝達が早い。

来年しっかりと安全登山を守りながら富士山の良さを伝えていくことができれば、今後も海外に向けて自慢できる富士山であり続けるのではないかと思っています。

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富士山
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経営と登山のあいだ
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