大キレットルート案内

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いつかは、と夢に思っている人たちも多いのではないでしょうか、大キレット。

八峰キレット(鹿島槍・五竜間)、不帰(かえらず)キレット(唐松・白馬間)に並ぶ、日本三大キレットと言われるもののひとつで、その中でも長野県のグレーディングで最高グレードに位置付けられています。

https://www.sangakusogocenter.com/topics/docs/matrix_A4.pdf

今回は、大キレットに行ってきたので、そのコースをご紹介したいと思います。

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どんな人がチャレンジできるか?

実際に行ってみると、70歳越えたソロ登山者から、ガイドツアーまでいろいろな人がいました。今回は5人のお客様とご一緒したのですが、(もちろん初顔合わせではなく、今年6月に不帰キレットにご一緒したお客様たち)いくつかチャレンジするときに2つ準備しておいた方がいいと思いました。

1つ目は、体力。今回は1泊目明神館、2泊目南岳山荘に泊まったのですが、今回のお客様で明神から槍沢ロッジまでコースタイム3時間50分のところを3時間弱。南岳山荘まで9時間半のところを7時間半でした。ツアーで言えば相当強いメンバーです。

八峰キレット、不帰キレットと大きく違うのは、キレット自体の長さです。今回はずっと天気が良かったのですが、天気のいいコンディション、これだけ体力のあるメンバーで、平日混雑なく、のベストコンディションで3時間半かかっています。

キレット内で天候の悪化や、不慮の事態を考えると、体力はあるに越したことはありません。大体、登りでも下りでもコースタイムの8割ぐらいでは歩き続けられるぐらいの体力はあったほうがいいでしょう。体力に余裕があるということは、注意力にも余裕が出てきます。

もう一つは、クライミング経験。ちょっとでもいいから、クライミング経験、特に外岩でのルートのクライミング体験があると安全だし楽しめます。今回5人中3人は少々のクライミング経験があり、1人はアルパインクライミングの経験もあり、1人はクライミング経験なし、というメンバーだったのですが、やっぱりキレットに入ったとき、クライミング体験のない人の足元のおぼつかなさは一目瞭然でした。努力は嘘つかない。不帰キレットでも八峰キレットでもそこまで感じなかったのですが、大キレットは行きたい人はクライミング経験を少しでも積んでから行くのを強く強くオススメします。

南岳からか、北穂高からか、はたまた槍からか

ルート取りも結構重要な要素です。

これに関しては、南岳から北穂を目指すことを強くおススメします。

理由は二つあって、まず楽しめること。この大キレットのフェース登り(面的な壁を登るクライミング部分)が楽しめるのは、A沢のコルという北穂からキレットに降りきったところから北穂に向かう壁が一番なんですね。南岳側の登りは、フェースというよりガレ場要素が強い。途中、長谷川ピーク周辺はリッジなので、どちらから行っても同じです。そうすると、南岳から北穂のほうがキレットを楽しめます。

2つ目は安全面。この大キレットのリスクって2つあって、1つは長谷川ピークから北穂側の切れ落ちたリッジからの滑落、もう一つはA沢のコルから北穂までの落石や滑落。北穂からの下山はどうしても落石を落とすことに相当注意して歩かなければならないし、滑落の要素がある場所は下りよりも登りのほうがはるかにリスクが低い。そして、登りのほうが落石で人にけがさせるリスクも低い。

だから、特に初めて大キレットチャレンジする人は南岳から北穂がいいでしょう。

そして、コースタイムから言ったら槍から狙えるんじゃないかとか、穂高岳山荘まで行けるんじゃないかとか思ってしまいますが、大キレットだけで十分満足できるコースです。何度も行っている人ならともかく、初めて大キレットにチャレンジするなら、南岳小屋を出発、朝一パワーも注意力も満タンのタイミングで大キレットを越えるのがいいと思いますし、その時間帯だと北穂から涸沢に下山して涸沢でおでんでも食べながら余韻に浸るのがいいでしょう。てんこ盛りにして注意力散漫になるのは禁物。

大キレットコース案内

南岳山荘~鞍部

南岳山荘から少し上った後、ガレ場をガンガン下ります。

鎖がひと段落したところで、ちょっとした広場があるので休憩。北穂まできれいに見えます。

岩が大きくなってきて、大きなはしごを2本下りれば最低鞍部。

鞍部~長谷川ピーク

下りきったところから、長谷川ピークまでは比較的歩きやすい尾根歩き。

登り切ると長谷川ピークです。ここから一気に高度感とリスクが上がるので、注意力高めていきましょう。

長谷川ピーク~A沢のコル

長谷川ピーク越えると、両方がっつり切れ落ちているリッジ。とはいえ足場はあります。慎重に、慎重に。

飛騨泣き。ここも足場はあります。鎖をしっかりつかんで、落ちないように。落ちたら、、、ホントに深いです。後続の登山者がペットボトルを落としちゃっていましたが、本当に真っ逆さまでした。

A沢のコル~北穂高小屋

A沢にコルについたらしっかり休みましょう。ここから北穂小屋までは快適なフェース登り。落石だけ気を付けて。

背中に槍の穂先がぴょこっと出始めたら、ほぼゴール。小屋まではもうすぐです。

北穂まで上がったら、小屋から北穂頂上までは2-3分。余韻に浸りながら北穂高小屋のテラスでビール楽しんで宿泊するのも、涸沢まで下りておでんとビール楽しむのも、横尾か徳澤あたりまで下山するのもいいでしょう。我々は徳澤園へ行きました。最高!

装備、こんなところに注意!

見かけた登山者の中で、ちょっと気になったことがあったので2つほど。

まず、ヘルメット被ってない人がちらほらいます。大キレットでは必須と言っていいと思います。ヘルメットは被りましょう。

それから、先ほどのペットボトル落とした人もそうなんですが、ザックや体の周囲にぶらぶら下げるのはダメ。ストックもできればザックの中にしまいましょう。引っかかって、アッ、ってならないように。サコッシュや1眼レフ首から下げているのも、大キレット間はやめましょう。

憧れの大キレット、どこで練習する?

大キレットにあこがれて、いつかは行きたいと思っているけど、どこで練習すればいい?と思っている人も多いんじゃないでしょうか?

まずは三大キレットのほかの2つがいい練習になると思います。八峰キレットと不帰のキレット。両方とも大キレットよりは短いしスケールも小さいですが、行っておいて損はないでしょう。

あとは八ヶ岳の赤岳硫黄の縦走とか、槍ヶ岳とか、劔とか、乾徳山とか、妙義山とかがいいと思います。弊社でもツアーやっていますので、練習に使ってみてもいいでしょう。

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ぜひいつか、晴れた大キレットを越えることを目標に、ぜひ素敵なお山ライフを!