2010年2月9日。いよいよアコンカグアへ飛び立つ日です。
昨年末からトレーニング山行をKyokoさんと行っていたのもこのアコンカグアのため。
いつものガイドとしてのスタイルとして、ゆっくり、ゆっくりのペースを心がけているのですが、今回ばかりは山にいればいるほどリスクが高まる標高。
スピードも重要ですと言いつづけて日本の山々を登ってきました。
ガイドとして、こういう大きな登山の前に重要だと思っていることが2つあります。
1つは、絶対に自分が登ったことのある山で、自分は余裕を持って登れる確信がある山しかガイドは出来ない、ということ。
もう1つはお客様の特徴を完全に把握しておくこと。どんなスピードまで大丈夫か、どの程度の荷物の重さまでなら大丈夫か、ばてた時にどういう変化が見られるか、などなど。
そういう意味で、トレーニング登山をしてきたのは、お客様のトレーニングのためだけではなく、ガイドとして自分自身がパフォーマンスを最大限発揮するための事前知識を蓄える場でもあるのです。
アコンカグアはちょうど10年前に1人で登った山。10年前はキリマンジャロに登った4ヵ月後でした。キリマンジャロでは高山病に苦しめられ、やっとの思い出登頂したものの、やっぱり自分には高所登山はムリだ、と思い始めていました。いろいろと考え、アコンカグアに行ってみてもしここでも苦しめられるようならセブンサミッツを諦めよう、と決めていた山です。その間の4ヶ月間は高山病についての本を読み漁り、どうすれば高山病にかかりにくいかの知識を蓄え、実践したのがアコンカグアでした。結果、ラクラク登れて、その後のセブンサミッツ達成へとつながったわけです。
今回のKyokoさんは私とは逆にこれまで高山病で苦しんだことがない方。この部分が甘さにつながらなければ良い結果が待っているはず。
そして、性格的には多分ギリギリの状況になるまで登りたいと言い続けられる方。ガイドとしてはありがたいのですが、こういうリスクの多い山でどこまでガイドとして私がリスクを取って登り続けられるか、ダメな時は本人が帰りますとは言わないだろうから、最後は私が決断しなければならなくなるかもしれない。
成田にはMizuyoさんとYasuhiroさんがお見送りに来てくれていました。
Yasuhiroさんは共にアコンカグアを目指す予定でしたが、体調を崩してキャンセル。残念ですが、まあ、海外の大きな登山では成田出発まで辿り着かないことは良くあることなので仕方ありません。
期待に胸を膨らませ、いざ出発。