今年、冬山山行で激寒が続いています。暖冬なのにね。昨年より寒い山行が多い気がします。雪は少ないけどね。風強い。しかも、昨年よりラッセルしてる気がしてます。めぐり合わせ?
先週末の硫黄岳では極寒強風で、登頂したもののすぐ下山。昨日の那須では、振り返れば全員ぶっ倒れているぐらいの暴風でした。
あまりの写真に、Facebookのコメントで、「流石にネタでしょ」ってコメントいただきましたが、めっちゃガチ。写真左の緩斜面にころがって3m滑落?するし、突風で倒れて岩にぶつけそうになるし、これ以上頑張ったら誰か倒れた時に骨折しちゃうかも、というわけで撤退してきました。いつも風強い場所なんですけどね、那須の峰の茶屋の手前15分。今回は特別でした。
こうも温度が低くて風が強いと、体感温度が下がります。そして、最初にみんなやられるのが指先。痛い痛い言い始めます。
痛くてもいいんだけど、凍傷になったらたらまずい、というわけで、雪山初めてみました、っていうぐらいの人に伝えたい、指を守るためにやってほしいことをまとめておきます。 お客様見てても、装備の差、意識の差が大きいんですよね。体力とかはすぐにはつかないけど、指を守るための装備と意識ならすぐやれるので、気を付けてみてください。
とりあえず手袋は複数持っておけ
悪いことは言いません。手袋は複数持っておきましょう。レイヤリングのことじゃないですよ。2セット以上。
手袋、凍るし、中に雪はいるし、飛ばされるし、いろいろ起こります。
一つは防寒テムレスもいいですよ。でももう一つもってないと、防寒テムレス飛ばされたらどうします?
そして、ガチ寒いときは防寒テムレスでは太刀打ちできません。防寒テムレスの-60度対応、って「ビニル手袋的にその温度でも柔軟性を保つ」であって、「-60度でも凍傷にならない」じゃないですからね。
防寒テムレスのHPにある画像張っておきます。
ね。
私は比較的防寒テムレス賛成派で、自分でも使っていますが、冬山での万能製品ではありません。比較的環境の良い雪山で取り回しが良い、というだけ。これだけで雪山に行くのは危険です。
ほかの装備の甘さが目立つ私ですが、手袋は結構持って上がっています。
私の場合、一番外のオーバー手袋は1つ。ただ手首にひもがついて、絶対に飛ばされないようにしています。そして、風がそこまで強くなければアウターでも耐えられるシンサレート(断熱材)入りの手袋。それと防寒テムレス。いつも3つは持っています。
手袋の中に雪が入って凍り付くようなことがあっても、手は守らなければならない。そのためには、複数持っておくに越したことはありません。
スマホじゃなくてデジカメ。もしくはタッチペン持参
最近、一緒に行くスタッフがスマホで撮るのにタッチペンを持っていっていて、いいアイデアだなぁ、と思いました。スタッフの場合、自分の装備だけじゃなくてお客様にスマホ渡されて撮ってあげたりするので、こういうの一つあるだけでいいですよね。
でも、タッチペンなしならばスマホはやめましょう。極寒地で手袋外して、金属やガラス触って指先から熱が吸い取られるのは危険です。物理ボタンで押せる、カメラならオーバー手袋を付けた状態でも押せるので良いでしょう。
カメラも冷えるとバッテリーすぐに上がります。ポケットにカイロ入れて、温めておくといいと思います。
インナー手袋を外さない癖を
靴ひも結んだり、アイゼン付けたり、いろいろ細かい作業をするとき。オーバー手袋を外すことは多いと思いますが、インナー手袋を外さずに作業する癖をつけましょう。
オーバー手袋外さないように、だと大変ですが、インナー手袋だと気を付ければ可能。靴紐つける練習とか、アイゼンつける練習とかしておくとよいですね。
気にするのは温度より血行
手の先の温度自体よりも血行。指のカイロないかなぁ、などとおっしゃる方もいますが、指のカイロはなくても、手首温めるだけで指先は温まります。指先に入っていく血流が温まりますから。
そして、指を曲げているよりも伸ばしている方が血行が良くなります。
だから、ピッケル持っているときも、曲がっている指を時々伸ばしてあげると温まります。指先が冷えてきたら、グー、パーを繰り返して血行を良くしてあげるとすぐにではありませんが、だんだんあったまってきます。
もっと根本的な話をすると、体幹があったまっていて、末梢に流れる血流が温かいほど指先は冷えにくい。だから、体幹自体を冷やさないことも大事です。
指先に気を付けて、残りの雪山シーズン楽しんでいきましょう!