谷川岳中学生遭難に関して、日本雪崩ネットワークが追取材してくれているので、ちゃんと確認しよう

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谷川岳で中学生が親子でバックカントリースキー中に遭難、というニュースが速報で流れて、翌日無事見つかったことがそちらもニュースで見ましたが、詳細に関しては分からないままでした。

ほぼ無知であろう取材者の、「親子でバックカントリースキー中に中学生が行方不明で遭難」という言葉で、私なんかは谷川岳頂上あたりから滑降しているものと思い、助かるとしたら熊穴沢の避難小屋にいる可能性ぐらいかな、と思っていました。が、日本雪崩ネットワークの追っかけ取材で詳細が見えてきました。関係者の皆様、お疲れ様です。ありがとうございます。

リンクはこちら↓

ページが見つかりませんでした | 日本雪崩ネットワーク
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そもそもバックカントリー中の遭難ではない

11日は荒天のため、ロープウェイ山頂駅前のゲレンデに掛かる峠リフトは運転を休止していました。中学生はゲレンデ内での新雪滑走をしようと、踏み跡のある「登山者出入り口」を通って天神尾根へ登行を行いました。父親はゲレンデで待機していました。

そもそもバックカントリーではなく、ゲレンデ内でその時天候でリフトが運航休止になっていたゲレンデ内のコースを、登山者用のルートを登って滑ろうとした案件です。

こちらを、「当時滑走禁止になっていたのだからゲレンデ外滑走」と切り捨てるのは簡単ですが、もともとスキー場管理区域外に意図して向かったのとは違う、というのは大事なポイントだと思います。

谷川岳の天神平というのは、登山者も多くいるエリアで、リフトが止まっているときでも、天神平の上まで人が登っていて、ゲレンデを滑っていた自分でも行けそうに見えた、というのはあり得ることだと思います。

天神尾根付近で風雪でルートをロスト

中学生は父親の待つゲレンデ方向へ「登山者出入り口に沿った斜面(2/20追記)」を滑り降りるつもりでしたが、天神尾根付近で風雪によるホワイアウトでルートロストし、ゲレンデと反対側の斜面へ滑り降りてしまいます。

谷川岳の天神平は、行ったことがある人は分かると思いますが、入り口だけ登山者とゲレンデスキーヤーを分けるために、ロープでルートの目印があります。ただ、天神尾根付近で、ゲレンデスキーヤーが来ないエリアとなるために、赤旗はところどころにさしてあるものの(おそらく、地元の沼田山岳会がボランティアでさしてくれているもの)、一気に目印がなくなります。

当時の天候は想像するしかありませんが、おそらく目印がなくなるのと、ホワイトアウトが一気に始まるのとが重なったのでしょう。近いと思っていたはずのすぐそこに下山できずに逆に滑り降りてしまったようです。

そして、翌日地元のプロスノーボーダーが救助

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200221-00000041-asahi-soci

谷川岳を中心に活動する加治さんと勝山さんは「師弟関係」。12日はスノボ映像を撮る予定だったが、「愛する谷川岳の仲間を助けたい」と、早朝から捜索を始めた。

救助に向かったお二人、お疲れ様でした。

この遭難から学ぶべき事

この事案にぶつかったとき、事故自体は親の責任だけど、頑張って生きていてくれ、的なコメントが多かったように思います。

みんなが正しさを主張するSNSの中で、皆の留飲をどう下げるかとかどうでもいいんだよね。業界として本当に必要なのは、親の責任か、誰の責任か、じゃなくて、次の同じような事故をどうすれば防げるか、だと思います。

荒天のため一時閉鎖されているゲレンデを滑走することは不適切な行為であるにも関わらず、息子に登って滑ることを許可してしまったことを反省しています

と保護者が言っています。そのこと自体は必要なことなのでしょうが、この事故のほとぼりが冷めたころに、同じように、そのリスクを知らずに閉鎖されたゲレンデを滑走しようとする人が出てきては意味がありません。

一方、日本雪崩ネットワークも書いている通り、

この事案は「スキー場利用者の遭難」であり、山スノーボード(バックカントリー滑走)での遭難ではありません。

バックカントリーの事案ではないため、バックカントリー業界、山スキーや冬山業界の人が学べることはほぼない事案じゃないかと私は思っています。

そして、これが一番同意。

不明点について後知恵バイアスによる空想を巡らせ、遭難者を批評することは慎むべきです。

脊髄反射的に、「バックカントリーは駄目だ」とか「コース外滑走が」とか言っていた人も多いかと思います。が、そもそもリスクを十分わかってそれでも事故が起こった案件なのか、リスクを知らずに入ってしまった案件なのか、リスクを軽視していた案件なのか、それぐらいは理解してからコメントしないと、リスクの少ないコトしかやってない人が、自然とちゃんと向き合っている人を批判する、というような本末転倒なことになりかねないので、気をつけなければなりません。

アウトドアフィールドに出る限り、リスクはゼロにはならないのだから。