富士山の入山料強制化は必要ない

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富士山の入山料を強制化しようという動きがあるようです。

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記事の通り、徴収率50%~60%にとどまっているならばなんとかしなければならない事態でしょう。五合目で見ている感覚値でもその程度かな、と思います。徴収員の皆さんも強制力がないのを知っていてやっているので、お願いベースになってしまいますしね。

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他地域に学ぼう

私は、強制化の条例は必要ない、と思っています。

なぜか。

このまま50%程度の善意の徴収でいいと思っているわけではありません。この徴収率を100%に近づけるのに、強制化の条例制定が必要ないと思っているのです。

他地域を見てみましょう。

例えば、南アルプス広河原。ちょっと古いデータですが、徴収率はこんな感じ。

年 度 利用者数(人) 協力金支払者数(人) 協力率(%)
平成21年度 64,745 64,663 99.87
平成22年度 68,714 68,667 99.93
平成23年度 58,531 58,506 99.96
平成24年度 75,079 75,059 99.97
平成25年度 80,980 80,953 99.97

出典 : https://www.pref.yamanashi.jp/kankou-sgn/documents/h26kiseikekka.pdf

すごくないですか。100円っていう金額の問題もあるけれど、この徴収率はすごい。

今年は値上げだそうです。

南アルプス協力金、100円増200円 | 南アルプスNET|南アルプス市芦安山岳館
マイカー規制中、今年は137日間 南アルプス山岳交通適正化協議会(会長・金丸一元南アルプス市長)は19日、南アルプス・広河原に通じる県道と林道のマイカー規制期間中、通行者に求めている協力金について、中学生以上は100...

「ほぼ全員が支払っている。」「 小学生については100円に値上げする案が出されたが、委員から異論が出て無料となった。」いいと思います。

2倍の200円。無問題。全員払うでしょう。「 値上げの周知を徹底するよう呼び掛ける意見も出た。 」いや、どうせ払ってくれるし、いらんだろ(笑)。

次に屋久島。屋久島は、山岳部環境保全協力金(日帰り1000円、山中の泊り2000円)ですが、徴収率8割程度。

http://yakushima-tozan.com/wp-content/uploads/98681da830d0bef6ca944cab6d991e18.pdf

この山岳部環境保全協力金、入山ポイントが荒川登山口、白谷雲水峡、淀川登山口などに分かれるため、徴収率が下がっていますが、メインの荒川登山口に限ればおそらくもっと高い徴収率になるでしょう。

ポイントは、いかに空気のように徴収するか

徴収の法的強制力がなくても、徴収の方法でほぼ強制にできる、という話です。

南アルプスの場合だと、バス、乗り合いタクシーに料金の内訳として書いてあるけれど、一緒に払うので多くの人が協力金と認識せずに払っているんじゃないでしょうか。

今年、北沢峠から広河原に出て、広河原から甲府行きのバスチケットを買っていた時のこと。乗り換え時間も短くて焦っていたのもあるんですが、バスの領収書の金額が間違っていたんですね。

指摘すると、「これでいいんです」と。ん?と思ってたら、協力金分は、チケットの一部切り取ったものが領収書になっていて、その分は山梨交通が受け取るものじゃないから領収書の中には入れられない、と。その通りですよね。

屋久島も、バス料金と合わせて徴収しています。

屋久島は、バスに180円のせて徴収、登山口で係員が500円徴収、という過去の体制が変わって、バスに乗せて日帰り1000円、山中宿泊2000円という体制になりました。ほんとは白谷雲水峡の入場料500円も混ぜられたらわかりやすかったけど、それでも過去と比べると随分すっきりしたと思います。

協力金の目的を理解してもらう、ってのは大事なプロセスだとは思います。ただ、それにこだわって、払うのが面倒な状況作ってしまっては、徴収率を下げるだけ。わざわざ払うのではなく、(払わない人が)わざわざ払わない、という状況を作り上げてしまえばいい、これが私の思う徴収率を上げる打ち手です。

富士山の場合、マイカー規制しているので、富士急を代理徴収者にして、徴収してしまえばいいのではないかと思います。御殿場口は取れないけど、それは今のまま任意でいいんじゃないかな。

五合目の観光の人たちはどうする?

おそらく問題になるのはこれだと思うんですね。五合目の観光だけの人たち。

けど、もうこの人たちからも1000円取っちゃえばいいと思います。そして、受益者にしてしまえばいいんじゃないかな。富士吉田の五合目のトイレもきれいになったし、まだまだお金かけられそうなところあるし。

協力金の用途を見ても、山梨県側は、「 富士山五合目インフォメーションセンター運営協議会 」とか「 五合目総合管理センター 」など五合目関連もかなりあります。

「富士山保全協力金」について
平成25年7月25日から8月3日までの10日間、「富士山保全協力金」の社会実験を、吉田口六合目において実施いたしました。(7月29日は悪天候のため中止しました。)

静岡県側は、五合目の観光の人は少ないから、五合目より上ばかりですが、こちらもそこまで大きな問題にするほどのことではないかと。

利用者負担制度の使途 | 富士山保全協力金について | 世界遺産 富士山とことんガイド

過去には、五合目に落石で死亡事故もあります。五合目の整備も協力金の用途に入ってきてもおかしくないでしょう。

富士山の駐車場に落石、クルマを貫通し1人死亡 | レスポンス(Response.jp)
13日夜、静岡県富士宮市内の富士山新5合目の駐車場で、駐車中のキャンピングカーを直径約1m、重量約3tの岩石が直撃する事故が起きた。クルマは大破。車内にいた68歳の男性が死亡している。岩は7合目付近(標高約3000m)から落ちてきたようだ。

今の体制まま支払いを強制にすると、人の多い日に混乱するのではないか

五合目の登山口にゲートを作るとか、そこで徴収するとかも可能だと思います。が、多い日は1日数千人が登る富士山。しかも同じ時間帯に多くの人が訪れて、大混乱するのではないかと思います。

今は支払ったかどうかチェックもなく、ファジーな感じでやっているからできているのであって、これを強制にすると、徴収員が自信をもって協力金を求められる、というだけではなく、徴収しているかどうかのチェックなども必要になってくるでしょう。

現実問題、強制にするにしても、徴収の方法は今のままでは成立せず、なんらか解決策が必要です。そして、それは今すでにある支払いポイントに代理徴収してもらうのが手っ取り早いと思うんですよね。

富士急のバス、ツアー等のバス、タクシーと五合目にたどり着く方法はそんなに多くないわけですから。現実的なところから考えるのではいいのではないかと思います。

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経営と登山のあいだ
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