長野県警山岳救助隊に聞いた、事故対策に登山者に持っていってもらいたいもの3つ

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先日、長野県警山岳救助隊の航空班の方の講演をお聴きする機会がありました。
その中で、とても興味深かったのが、「登山者に持っていってもらいたいもの3つ」です。「発煙筒、のこぎり、赤スプレー」だそうです。登山の世界に20年以上いるのですが、発煙筒を持っていってほしい、という話ははじめてで、「その発想はなかった!」という感想。それも、理由もかなり論理的でした。
日本全国で山岳遭難の統計をとると、道迷いがかなりの部分を占めますが、登山口の標高が高く、急峻な山が多い長野県では、一番多いのは滑落、転倒だそうです。滑落や転倒の場合、80%程度が縁での救助で、どれだけ早く病院まで搬送できるか、が肝になるそうです。
まず、ヘリで救助できる状態であること。上記の3つよりももっと基本で大事なのが「ヘルメット」です。頭部の損傷を守ることはとても大事で、ヘルメットを被っていたから助かった事例はかなりあるそうです。
ヘリが飛べても、要救助者がどの人なのかヘリから見つけられない、ということがやっかいだそうです。山ではヘリが来ても、不用意に手を振らないこと。だれが必要があって手を振っているか、だれがただの挨拶か、分かりません。
樹林帯の中にいた場合、人側からは樹林帯の隙間からヘリを見上げられるけど、ヘリはそもそも真下を見ることができない上に、樹林帯の中の人までは見つけられないので、場所が特定できないそうです。実際に同じ事例のヘリからの人を見た写真と人からヘリを見た写真を見せていただきましたが、確かにヘリから人を見つけるのは大変だ、というのがよくわかりました。
そのために必要なのが「発煙筒」です。発煙筒が焚かれていれば、すぐに場所が特定できて、病院までの時間が短縮化できるそうです。発煙筒を焚いて、それをヘリから見ている写真も見ましたが、確かに一目瞭然でした。

場所が特定できても、樹林帯の中だった場合、半径2m程度の隙間がないと、人が降りられないそうです。そのために必要なのが「のこぎり」です。半径2m程度であれば、要救助者を動かすよりも周囲の枝を切り落とす方が早いようです。
春山や冬山の雪の上では、なかなか要救助者をみつけられないようで、その時に役に立つのが「赤スプレー」だそうです。これは、雪の季節だけですが、確かに、見つけられやすそうです。
ガイドをやっていて、事故の対策で持っていくもの、となると、非常食や笛を思い浮かべましたが、より実用的なお話を伺えました。

長野県山岳遭難救助隊の弦間さん、大変勉強になりました。ありがとうございました!